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【遺言・相続】遺産を受け取ることができるのは誰か

1. はじめに 

相続とは、ある人が亡くなったときにその財産を家族や親族が引き継ぐことを指します。
これは単なる財産の分配ではなく、家族の将来を左右する大切な問題です。
遺産をどう分けるか、誰にどれだけ相続させるかは、被相続人が生前に遺言書を作成していれば比較的スムーズに進めることができます。
しかし、遺言書がない場合には、民法に基づいて相続が行われ、家族間でトラブルが発生することも少なくありません。
特に、遺産の分配が複雑な場合や、家族構成が複数の相続人を含む場合には、手続きが混乱しがちです。

このような問題を避けるためには、相続に関する基本的な知識を持っておくことが重要です。
本記事では、まず法定相続人に関する民法の規定を解説し、その後、家族構成に応じた具体的な相続の例を示していきます。
具体例を通して、どのような場合にどれだけの財産が相続されるのか、また遺言書がない場合のリスクについても触れていきます。
これにより、相続手続きを円滑に進めるための知識を深めていただけることを目指しています。

2. 法定相続人に関する民法の規定 

民法では、遺言書がない場合の相続の仕組みについて明確に定められています。
この場合、遺産は被相続人の法定相続人に分配されますが、法定相続人の範囲や相続の順位は民法で決まっています。
法定相続人とは、被相続人が亡くなった時点で、法律上相続する権利を持つ人々のことを指します。

主な法定相続人は以下の通りです:

  1. 配偶者:常に相続人となります。被相続人が生前に結婚していた場合、その配偶者は必ず相続権をもちます。
  2. :第一順位の相続人。配偶者と同時に相続権をもつ場合が多いですが、被相続人に子がいない場合は次の順位へ移ります。
  3. :第二順位の相続人。被相続人に子がいない場合、親が相続権をもつことになります。
  4. 兄弟姉妹:第三順位の相続人。被相続人に子も親もいない場合、兄弟姉妹が相続権をもちます。

相続の順位は厳密に定められており、上位の相続人がいる場合は、下位の相続人が相続する権利を持つことはありません。
例えば、子がいる場合には親や兄弟姉妹は相続人にはなりません。
これにより、家族構成や被相続人の状況によって、誰が相続するのかが決定されるのです。

3. 家族構成に応じた相続の具体例 

次に、具体的な家族構成ごとに、どのように財産が分配されるかを見ていきましょう。
相続の割合は、相続人の人数や関係性によって異なるため、それぞれのケースで詳細に説明します。

 

3-1. 配偶者と子がいる場合 

この場合、配偶者と子が法定相続人となり、財産は彼らの間で分配されます。
具体的には、配偶者が1/2、子が1/2を相続します。
もし子が複数いる場合、この1/2を子どもたちで均等に分けることになります。

例えば、被相続人が2,000万円の財産を残したとしましょう。
この場合、配偶者が1,000万円を相続し、子が2人いれば、それぞれ500万円ずつ相続します。
このケースでは、財産の分配が比較的シンプルですが、子どもが複数いると、その間でトラブルが発生することもあるため、遺言書があればより円滑に進む可能性があります。

 

3-2. 子はいないが、配偶者と親がいる場合 

この場合、配偶者が2/3、親が1/3を相続します。
子どもがいない家庭では、親が相続権をもつことになりますが、配偶者が優先されるため、相続の割合は配偶者が多くなります。

例えば、被相続人が3,000万円の財産を残していた場合、配偶者は2,000万円、親は1,000万円を相続します。
このケースでは、親が高齢であったり、すでに亡くなっていたりする場合もあるため、遺産分割協議が必要になることも考えられます。

 

3-3. 配偶者はいないが、子がいる場合 

このケースでは、配偶者がいないため、子がすべての財産を相続します。
子が複数いる場合は、全財産を均等に分けることになります。

たとえば、被相続人が1,500万円の財産を残した場合、子が1人であればその全額を相続しますが、もし子が2人いれば、それぞれ750万円ずつ相続することになります。
このケースでは、子どもたちの間で争いが生じることは少ないかもしれませんが、万が一のために遺言書を残すことが望ましいです。

 

3-4. 配偶者も子も親もいない場合 

このような場合、兄弟姉妹が法定相続人となります。
兄弟姉妹が複数いる場合、財産は均等に分配されます。

例えば、被相続人が1,000万円の財産を残していた場合、兄弟が2人いればそれぞれ500万円ずつ相続します。
兄弟姉妹の場合は、親族間の距離が遠く、関係性が薄いことも多いため、相続手続きに時間がかかることがあります。

4. 遺言書がないとどうなってしまうのか 

遺言書がない場合、法定相続人の間でトラブルが生じることが少なくありません。
例えば、相続割合について争いが起きたり、特定の相続人が財産を独占しようとしたりするケースも見受けられます。
特に、財産が不動産などの分割が難しいものであった場合や、家族間の関係が悪化している場合は、裁判にまで発展することもあります。

また、遺言書がないと相続手続きが複雑になり、相続人同士での協議が必要になるため、時間がかかることがあります。
遺言書を作成することは、相続人が迷うことなくスムーズに財産を分けるための有効な手段です。
さらに、遺言書があることで、遺産分割協議を避けることができ、手続きの負担が軽減されるだけでなく、家族間のトラブルを未然に防ぐことができます。

5. まとめ 

相続は、家族構成や財産の種類によって大きく異なります。
法定相続人が誰なのか、どのように財産が分けられるのかを知ることは、相続手続きで重要なポイントです。
特に遺言書がない場合、法律に基づいた分配が行われるため、被相続人の意思が必ずしも反映されないことがあります。
これを防ぐためには、遺言書を事前に作成することが重要です。

遺言書があれば、相続がスムーズに進み、家族間のトラブルを未然に防ぐことができます。
また、相続人が混乱することなく、確実に財産を分け合うことができるため、精神的な負担も軽減されます。

適切なタイミングで遺言書を作成し、家族に安心を与えることをお勧めします。

 

参考記事等

三井住友銀行ウェブサイト「法定相続人の範囲」
https://www.smbc.co.jp/kojin/souzoku/chishiki/chishiki02.html
(最終閲覧2024年10月13日)

オリックス銀行ウェブサイト「法定相続人とは?範囲や相続順位・割合、確認方法などを徹底解説!」
https://www.orixbank.co.jp/column/article/182/
(最終閲覧2024年10月13日)

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