共同生活援助のサービス内容
1. はじめに
共同生活援助(グループホーム)は、障害をもつ方々が自立した生活を送るために、共同で生活しながら、さまざまな支援を受けられるサービスです。
このサービスは、個人の生活能力やニーズに応じて、日常生活や社会参加をサポートすることを目的としています。
この記事では、共同生活援助の具体的なサービス内容や、スタッフの役割、1日の流れなどについて、わかりやすい形で解説していきます。
また、共同生活援助を利用する際の手続きや費用についても触れていくので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
2. 共同生活援助のサービス内容
2-1. 概要
共同生活援助は、自立支援給付のうち訓練等給付の対象となる障害福祉サービスです。
このサービスでは、障害のある方が地域住民との交流が確保されている地域の中で、家庭的な雰囲気の下、共同生活を営む住まいの場を提供します。
これにより、障害のある方の孤立の防止、生活への不安の軽減、共同生活による身体・精神状態の安定などが期待されます。
共同生活援助では、主として夜間において、共同生活を営むべき住居における相談、入浴、排せつ又は食事の介護、日常生活上の援助をおこないます。
また、利用者の就労先や日中活動サービス等との連絡調整や余暇活動等の社会生活上の援助をおこないます。
2-2. スタッフ
生活支援員
生活支援員は、利用者の生活全般にわたる支援を行うスタッフで、個別指導計画に基づいてサポートを提供します。
例えば、外出時のサポートや、病院への通院に同行するなど、生活全般に関わる支援を行います。
また、利用者が社会的に孤立しないように、地域とのつながりをもてるような活動を支援することも重要な役割です。
生活支援員は、利用者が自立した生活を送るために必要なスキルや知識を提供し、目標に向けてサポートしていきます。
世話人
世話人は、利用者が快適に生活できるように、さまざまな場面でサポートを行います。
具体的には、食事の準備や片付け、掃除、洗濯など、日常生活に必要な家事全般を手助けする役割を果たします。
世話人は、利用者と日常的に接するため、コミュニケーションを通じて利用者のニーズを把握し、適切なサポートを提供することが求められます。
また、世話人は生活支援員と連携しながら、利用者が自立生活に向けたスキルを習得できるように手助けを行います。
2-3. 1日の流れ(介護サービス包括型の場合)
朝
朝は、利用者が1日を始めるために必要なサポートを行います。
食事の準備や着替えの手伝い、またはその日のスケジュール確認などをおこない、利用者が快適に日中活動に取り組めるように整えます。
日中
日中の時間帯には、利用者が外部の作業所や職場、施設に出かけて活動する場合が多いです。
この際には、外出のための支援や、必要に応じて外部サービスを利用して活動をサポートします。
利用者によっては、日中の時間を施設内で過ごす場合もあります。その場合は生活支援員が一緒に活動を行ったり、日常生活スキルの訓練を行ったりします。
夕方
夕方になると、利用者が施設に戻ってきます。
戻ってきた後は、夕食の準備を行い、一日の振り返りをします。
この時間帯は、利用者がリラックスできるような環境を提供することが重要です。
また、翌日の予定を確認し、必要な準備を整えます。
夜
夜の時間帯は、利用者が安心して休めるように見守りが行われます。
場合によっては、夜間に特別なケアが必要な利用者に対して、支援を行うこともあります。
例えば、夜中に目が覚めた場合の対応や、介護が必要な場合の支援などが含まれます。
3. 共同生活援助の対象者
同生活援助の対象者は、障害をもつていて、一人暮らしが難しい方や、地域社会で自立した生活を送りたいと考えている方です。
具体的には、次のような方になります。
・単身では生活に不安があるため、一定の支援を受けながら地域の中で暮らしたい方
・一定の介護が必要であるが、施設ではなく地域の中で暮らしたい方
・施設を退所して地域社会へ移行したいが、いきなり単身生活には不安がある方 など
特に、自立生活を送りたいものの、まだスキルや支援が必要な方にとって、共同生活援助は重要なサポートとなります。
また、家庭の事情で一人暮らしが困難な場合や、地域での生活経験を積みたい方にも適したサービスです。
4. 共同生活援助の種別
4-1. 介護サービス包括型
介護サービス包括型では、利用者はグループホームで共同生活をします。
利用者の多くは、平日などに、就労継続支援B型や生活介護の事業所を利用します。
世話人、生活支援員が配置され、家事などの日常生活上のサービスや介護をおこないます。
4-2. 外部サービス利用型
外部サービス利用型では、利用者はグループホームで共同生活をします。
利用者の多くは、平日などに、就労継続支援B型や生活介護の事業所を利用する。
世話人が配置され、家事などの日常生活上のサービスをおこないます。
一方、介護サービスは、居宅介護事業所等の外部に委託されますので、生活支援員は配置されません。
4-3. 日中サービス支援型
日中サービス支援型は、障害者の重度化・高齢化に対応しています。
利用者はグループホームで共同生活をする。
介護サービス包括型・日中サービス利用型と異なるのは、日中に生活支援員・世話人、夜間は夜間支援員を配置し、常時支援する体制をつくっていることです。
利用者は、平日など、就労継続支援B型や生活介護の事業所を利用することができる。
一方、日中サービスの利用が困難な人は、グループホーム内で日中の支援を受けます。
5. 共同生活援助を利用するには
5-1. 手続き
共同生活援助を利用するには、まず市区町村の福祉担当窓口で申請を行う必要があります。
申請には、障害者手帳や医師の診断書など、必要な書類が揃っていることが求められます。
申請後には、サービス利用計画が立てられ、適切な支援内容が決定されます。
この過程では、利用者本人や家族、担当者との相談を通じて、個々のニーズに合った計画が策定されます。
5-2. 利用者負担
共同生活援助の利用には、利用者の所得に応じた自己負担が発生します。
所得が一定以下の場合、自己負担額が軽減される制度もありますので、負担額が大きくなることを心配せずに申請できます。
また、自治体によっては、補助金や減免制度が設けられている場合もあるため、事前に確認しておくことが重要です。
利用者の経済状況に応じて柔軟に対応されることが多いので、安心して利用を検討できます。
6. まとめ
共同生活援助は、障害をもつ方が地域社会で自立した生活を送るための大切なサービスです。
さまざまなサポートを受けることで、利用者は日常生活の課題を克服し、地域社会の一員として活躍することができます。
共同生活援助を利用する際には、サービス内容をしっかりと理解し、自分に合った支援を選ぶことが大切です。
参照記事等
WAM NET、トップ>制度解説コーナー>障害者福祉>「利用までの流れ」
https://www.wam.go.jp/wamappl/seidokaisetsu.nsf/vdoc/syogai_02?Open
(最終閲覧2024年10月7日)
WAM NET、トップ>制度解説コーナー>障害者福祉>サービス一覧/サービス紹介>「共同生活援助(グループホーム)」
https://www.wam.go.jp/wamappl/seidokaisetsu.nsf/vdoc/syogai_03_09?Open
(最終閲覧2024年10月7日)
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