共同生活援助(グループホーム)サービスにおける「入院時支援特別加算」と「長期入院時支援特別加算」について
共同生活援助(グループホーム)を運営する際、入居者が入院した場合の支援に対して「入院時支援特別加算」と「長期入院時支援特別加算」を適用することができます。
これらの加算は、入院中の利用者への適切な支援を評価し、事業者の努力を反映させる重要な仕組みです。
事業者として正しく理解し、活用することが、利用者の福祉向上と事業所の経営安定に繋がります。
この記事では、これらの加算の詳細、算定要件、注意点、そして運用時のポイントについて詳しく解説します。
1. 入院時支援特別加算とは
入院時支援特別加算は、グループホームの利用者が入院した際、事業所が一定の支援を行うことで算定できる加算です。
この加算は、入院中でも利用者が孤立しないように支援を行う事業所の役割を評価するものです。
以下では、この加算についてさらに詳しく見ていきましょう。
1.1 入院時支援特別加算(イ)
-対象期間: 入院期間が3日以上7日未満の場合が対象です(入院初日と退院日を除く)。
-算定単位: 561単位/月
-訪問回数: 入院中、少なくとも1回以上訪問が必要です。
1.2 入院時支援特別加算(ロ)
-対象期間: 入院期間が7日以上の場合(入院初日と退院日を除く)。
-算定単位: 1,122単位/月
-訪問回数: 入院中、少なくとも2回以上訪問が必要です。
加算のポイント
この加算は、入院中の利用者が安心して療養生活を送るための支援を評価するものです。
例えば、衣類や日用品の持ち込み、医療機関への情報提供、医師や看護師との連絡調整などが具体的な支援内容として挙げられます。
また、家族の代わりに事業所が役割を果たすケースが多いことから、利用者やその家族の安心感にも繋がる施策です。
2. 長期入院時支援特別加算とは
長期入院時支援特別加算は、利用者が長期入院する際に、継続的な支援を行うことで算定できる加算です。
この加算は、入院期間が長期化する場合でも利用者が適切なサポートを受けられるようにすることを目的としています。
2.1 長期入院時支援特別加算(イ)
-対象事業所: 指定共同生活援助事業所
-算定単位: 122単位/日
2.2 長期入院時支援特別加算(ロ)
-対象事業所: 日中サービス支援型指定共同生活援助事業所
-算定単位: 150単位/日
2.3 長期入院時支援特別加算(ハ)
-対象事業所: 外部サービス利用型指定共同生活援助事業所
-算定単位: 76単位/日
加算の適用期間
この加算は入院初日から最大3か月間まで算定が可能ですが、初日および退院日は算定対象外となります。
例えば、退院までに90日を超えた場合、4か月目以降は加算の適用ができないため注意が必要です。
3. 共通の算定要件
これらの加算を算定するためには、以下の共通要件を満たす必要があります。
3.1 家族等からの支援が困難であること
入院時の支援を家族が担うことが難しい状況であることが要件となります。
例えば、家族が遠方に住んでいる場合や、利用者が単身者である場合が該当します。
この状況は支援計画に明記する必要があります。
3.2 個別支援計画への明記
事業所が支援を行う計画を事前に策定し、その計画に基づいて支援を実施することが求められます。
この支援計画には、訪問の頻度や具体的な支援内容を記載し、利用者やその家族の同意を得ることが重要です。
3.3 記録の整備
入退院の手続き、家族や医療機関との連絡内容、相談支援の内容などを詳細に記録する必要があります。
この記録は監査の際にも確認されるため、正確でわかりやすい形式で記録を残しておくことが求められます。
3.4 従業員による訪問と支援
グループホームの職員が実際に訪問し、衣類や日用品の準備、医療機関との連携、利用者への面談などを行う必要があります。
これにより、利用者が安心して療養に専念できる環境を提供します。
4. 注意点と運用のポイント
4.1 加算の併用不可
入院時支援特別加算と長期入院時支援特別加算を同一月内に併用して算定することはできません。
そのため、どちらを算定するのが適切かを事前に判断する必要があります。
4.2 体験利用時の算定不可
体験利用中に入院した場合、これらの加算を適用することはできません。
加算の対象は、正式な契約の下で利用を開始している利用者に限られます。
4.3 入退院日の扱い
入院初日と退院日は加算の対象外となりますが、これらの日についてはグループホームの基本報酬を算定することが可能です。
報酬の算定漏れを防ぐために、記録の見直しを徹底しましょう。
4.4 コミュニケーションの重要性
利用者本人やその家族との密なコミュニケーションを通じて、支援内容や計画についての理解を深めてもらうことが大切です。
特に、入院時の不安が大きい利用者に対しては、こまめな情報共有が求められます。
おわりに
入院時支援特別加算と長期入院時支援特別加算は、利用者の生活を支える重要な仕組みです。
これらの加算を適切に活用することで、利用者が安心して入院生活を送れるよう支援するだけでなく、事業所の運営基盤を強化することにも繋がります。
事業者としては、正確な理解と運用を心がけるとともに、利用者のニーズを的確に把握し、適切な支援を提供する姿勢が求められます。
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参照記事等
ウェルクリップのウェブサイト「障害福祉事業の「入院時支援特別加算」とは?適用条件と注意点を解説!」
https://fukusi.kabudata-dll.com/nyuinji-shientokubetsu-kasan/
(最終閲覧2024年12月4日)
LITALICO仕事ナビのウェブサイト「基本がわかる共同生活援助(障害者グループホーム)基本報酬と加算・減算一覧」
https://snabi-biz.jp/articles/67
(最終閲覧2024年12月4日)
トキタ行政書士事務所のウェブサイト「共同生活援助(グループホーム)加算一覧~2024年(令和6年)報酬改定対応版~」
https://tokita-fukushi.com/%E5%85%B1%E5%90%8C%E7%94%9F%E6%B4%BB%E6%8F%B4%E5%8A%A9%EF%BC%88%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%EF%BC%89/kasann2024/
(最終閲覧2024年12月4日)