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【障害福祉サービス】医療機関と連携して看護を受けた場合の加算

障害福祉サービスにおける医療連携体制加算について

 

障害福祉サービス事業所では、利用者の健康管理や医療的ケアの提供が重要です。
そのため、医療機関との連携を評価する「医療連携体制加算」という制度があります。
今回は、この加算の概要や算定要件、注意点について詳しく解説します。

 

1. 医療連携体制加算とは

医療連携体制加算とは、障害福祉サービス事業所が医療機関や訪問看護ステーションと連携し、利用者の医療ニーズに応じた支援を提供する際に算定できる加算です。
具体的には、看護職員が事業所を訪問して利用者に看護を提供した場合や、介護職員に喀痰吸引等の指導を行った場合が対象となります。
医療連携を通じて、利用者の健康維持や生活の質の向上が期待される制度です。

 

 

2. 対象となるサービス

医療連携体制加算の対象となるサービスには、以下のような障害福祉サービスがあります。

– グループホーム(共同生活援助)
– ショートステイ(短期入所)
– 就労系サービス(就労移行支援、就労継続支援A型・B型)
– 障害児通所支援(放課後等デイサービス、児童発達支援)
– 地域移行支援や地域定着支援など、医療的ケアの必要性が高いケース

各サービスの内容については、ブログ記事「障害福祉サービスの種類」(2024年10月4日掲載)をご覧ください。
各サービスの特性や利用者の状況に応じて、適切な連携を行うことが求められます。

 

 

3. 加算の種類と単位数

医療連携体制加算は、提供する看護の内容や時間、事業所の対応状況に応じて複数の区分に分けられています。
以下に、共同生活援助(グループホーム)の場合の主な加算区分を示します。
なお、グループホームのサービス内容については、こちらのブログ記事をご覧ください。

-医療連携体制加算(Ⅰ)

看護職員が事業所を訪問し、利用者(上限8人)に対して1時間未満の看護を提供した場合。
→ 32単位/日

-医療連携体制加算(Ⅱ)

1時間以上2時間未満の看護を提供した場合。
→ 63単位/日

-医療連携体制加算(Ⅲ)

2時間以上の看護を提供した場合。
→ 125単位/日

-医療連携体制加算(Ⅳ)

医療的ケアを必要とする利用者に対して看護を提供した場合。
→ 利用者1人の場合800単位/日、
→ 利用者2人の場合500単位/日、
→ 利用者3人以上8人以下の場合400単位/日

-医療連携体制加算(Ⅴ)

看護職員が介護職員等に喀痰吸引等の指導のみを行った場合。
→ 500単位/日

-医療連携体制加算(Ⅵ)

研修を受けた介護職員等が喀痰吸引等を実施した場合。
→ 100単位/日

– 医療連携体制加算(Ⅶ)

日常的な健康管理や医療ニーズへの適切な対応がとれる体制を整備している事業所の場合。
→ 39単位/日

加算内容や単位数はサービス種別や施設の形態によって異なる場合があるため、詳細は事業所ごとに確認が必要です。

 

4. 算定要件

医療連携体制加算を算定するには、以下の要件を満たす必要があります。

①医療機関等との契約 
医療機関や訪問看護ステーションと正式に委託契約を締結し、看護職員が訪問する体制を整えること。

②医師の指示書の取得 
利用者ごとに、医師からの具体的な看護指示書を取得し、それに基づいたケアを行うこと。

③個別支援計画の作成 
医療連携に関する内容を個別支援計画に記載し、利用者およびその家族の同意を得ること。

④看護記録の管理
看護職員が提供した看護の内容を記録し、必要に応じて監査や指導に備えること。

 

 

5. 注意点

 

-指示書の有効期間 
医師の指示書は通常6か月が有効期間となります。
期間満了前に更新が必要です。

-加算の重複制限
医療連携体制加算は他の加算と同時に算定できない場合があります。
施設全体の加算設計を見直す必要があります。

-実地指導への対応
高額な加算であるため、自治体による実地指導で厳しく確認されることがあります。
契約書、指示書、記録類を適切に管理し、要件を確実に満たしていることを示せる準備が重要です。

 

6. 医療連携体制加算を活用するポイント

 

-事業所全体の連携強化
医療連携体制加算の取得には、医療機関だけでなく、事業所内のスタッフ間での情報共有が欠かせません。

-職員のスキル向上
介護職員が喀痰吸引等の技術を習得することで、より幅広い加算が可能になります。
研修の積極的な実施を検討しましょう。

-利用者や家族への説明 
医療連携の必要性を利用者やその家族に丁寧に説明することで、理解を得やすくなり、サービスの質を向上させることができます。

 

まとめ

医療連携体制加算は、障害福祉サービス事業所が医療機関と連携し、利用者に適切な医療的支援を提供するための重要な制度です。
適切に運用することで、利用者の健康や生活の質の向上が期待されます。
算定要件や注意点を理解し、事業所全体で連携体制を整えることが、利用者にとって最善のサービス提供につながります。

障害福祉サービス事業所としての役割を果たしつつ、制度を活用して効率的に運営していきましょう。

ならざき行政書士事務所は、障害福祉サービスの事業者様をサポートしています。
取扱い業務および料金は、こちらのページをご覧ください。
ご相談・ご依頼は、こちらのお問い合わせフォームよりお寄せください。

 

参照記事等

障がい福祉サポートセンターのウェブサイト「医療連携等体制加算について分かりやすく解説」
https://info-wpp-sh.biz/hosptal/(最終閲覧2024年11月27日)

障がい福祉事業の開業支援【京都・奈良・大阪】のウェブサイトの「医療連携体制加算をわかりやすく解説」
https://syogaifukushi-osaka.com/iryou-renkei-taisei-kasan/(最終閲覧2024年11月27日)

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