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【障害福祉サービス】福祉専門職員を配置した場合の加算

障害福祉サービスにおける福祉専門職員等配置加算について

 

障害福祉サービス事業所では、利用者に対して高品質なサービスを提供することが求められています。
その中でも、福祉専門職員を配置することは、サービスの質の向上や職員のスキルアップに大きく寄与します。
この取り組みを評価する仕組みとして「福祉専門職員配置等加算」があります。
この加算制度を正しく理解し、活用することで、事業所の運営を経済的にも強化することが可能です。
本記事では、この加算制度の概要、種類、取得要件、メリット、注意点などを詳しく解説します。

 

1. 福祉専門職員配置等加算とは?

福祉専門職員配置等加算は、障害福祉サービス事業所が一定割合の有資格者や常勤職員を配置することで、追加の報酬を受け取ることができる制度です。
これにより、専門性の高い人材を確保し、利用者への支援の質を向上させることが期待されています。

この加算は、利用者にとっても事業所にとってもメリットが多く、特に高い専門性を必要とする支援が求められる場合には非常に有効です。
また、職員の専門性が向上することで、事業所の信頼性や評判も向上し、長期的な運営の安定にも繋がります。

 

 

2. 加算の種類と算定要件

福祉専門職員配置等加算には、主に以下の3つの区分があり、それぞれに異なる算定要件と報酬単位が設定されています。

 

2-1. 福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)

①要件

常勤の直接支援員のうち、有資格者(社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、公認心理師、作業療法士など)の割合が35%以上であること。常勤職員が一定数以上であることが求められるため、人員計画が重要です。

②単位数

15単位/日(療養介護、共同生活援助の場合は10単位/日)

③ポイント

この区分は、最も高い専門性が求められるため、人材の確保や育成計画をしっかり立てることが必要です。

 

2-2. 福祉専門職員配置等加算(Ⅱ)

①要件

常勤の直接支援員のうち、有資格者の割合が25%以上であること。
加算(Ⅰ)ほどの専門性は求められませんが、それでも一定水準の有資格者を確保する必要があります。

②単位数

10単位/日(療養介護、共同生活援助の場合は7単位/日)

③ポイント

中間的な水準であり、取得のハードルは加算(Ⅰ)より低いですが、報酬もそれに比例しています。

 

2-3. 福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)

①要件

:以下のいずれかを満たすこと。
・直接支援員の総数(常勤換算)のうち、常勤職員が75%以上であること。
・常勤職員のうち、勤続3年以上の者が30%以上であること。

②単位数

6単位/日(療養介護、共同生活援助の場合は4単位/日)

③ポイント

勤続年数や常勤比率を重視している点が特徴です。職員の定着率向上に繋がる取り組みが必要です。

 

3. 加算取得のメリット

福祉専門職員配置等加算を取得することで、事業所は以下のようなメリットを享受することができます。

① 報酬の増加

加算を取得することで、通常の報酬に加え、追加の報酬を受け取ることが可能です。
この報酬は、職員の処遇改善やサービスの拡充に充てることができ、事業所運営の財政的な安定に寄与します。

② サービスの質の向上

有資格者を確保することで、サービスの質を向上させ、利用者やその家族からの信頼を得ることができます。
高品質なサービスを提供することで、利用者数の増加や事業所の評判向上が期待できます。

③ 職員の処遇改善

加算による報酬増加は、職員の給与や福利厚生の向上に繋げることができます。
これにより、職員のモチベーションが向上し、離職率の低下や人材の確保にも繋がります。

 

 

4. 加算取得の際の注意点

加算を取得するためには、以下の点に注意する必要があります。

① 要件の定期的な確認

常勤割合や有資格者の比率などの要件は、職員の入れ替わりや異動により変動する可能性があります。
定期的に人員状況を確認し、必要に応じて調整を行いましょう。

② 資格証の確認と管理

有資格者として算定するには、資格証の写しや登録証明書を正確に管理しておくことが重要です。
これらの書類が不足している場合、加算を認められない可能性があります。

③ 自治体への届出

加算の取得や変更がある場合、所定の期日までに自治体への届出を行う必要があります。
期限を守らない場合、加算を受け取れなくなる可能性があるため注意が必要です。

 

4-4. 職員の研修と育成

有資格者を増やすためには、既存職員への資格取得支援や研修の実施が効果的です。
研修計画を立て、長期的な視点で人材育成を進めましょう。

 

5. 加算取得のための具体的な取り組み

 

-人材確保の強化:求人広告の工夫や資格取得者へのインセンティブを提供することで、有資格者を積極的に採用します。

-職員への支援制度:既存職員が資格取得を目指しやすいよう、費用負担の軽減や勤務時間の調整を行い、サポート体制を整えます。

-定着率向上のための環境整備:職員が長期的に働きやすい職場環境を整えることで、勤続年数の要件を満たしやすくなります。具体的には、勤務時間の柔軟化や相談体制の充実などが挙げられます。

 

 

まとめ

福祉専門職員配置等加算は、事業所の運営やサービスの質の向上、職員の処遇改善において非常に重要な制度です。
適切な人材配置と管理、計画的な取り組みを行うことで、事業所運営をさらに安定させることが可能です。
長期的な視点で人材育成や環境整備を行い、利用者にとって魅力的なサービスを提供することを目指しましょう。

ならざき行政書士事務所は、障害福祉サービスの事業者様をサポートしています。
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ご相談・ご依頼は、こちらのお問い合わせフォームよりお寄せください。

 

参照記事等

古川行政書士事務所のウェブサイト「福祉専門職員配置等加算とは?」
https://normalization-tokyo.com/column/addsub/fukushisenmonshokuin(最終閲覧2024年11月26日)

障がい福祉事業サポートセンターのウェブサイト「福祉専門職員配置等加算の考え方について説明」
https://info-wpp-sh.biz/senmon-haiti/(最終閲覧2024年11月26日)

『障害者総合支援法事業者ハンドブック報酬編 2024年版 第2巻―報酬告示と留意事項通知』(中央法規、2024年8月)

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